横浜国大附属横浜小学校 同窓会

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恩師の近況 第12回 「小川俊哉先生」 その1

流石良子先生からバトンをいただきました小川俊哉でございます。

附属横浜小学校は、平成8年4月~平成14年3月までの6年間勤務し、下記の学年愛称の子どもたちと6年間を過ごしました。

小川先生

着任した当初は川崎の小学校を2校、12年間勤務した36歳でした。

TOMORROW

初めの学年は、愛称TOMORROWですが、実は、はじめの1週間は天晴れでした・・・・)

TOMORROWは平成7年~9年の2年間を担任として受け持ちました。

新聞は『毎日小学校新聞:1997年2月12日』に掲載された記事です。

この日は、『文科省研究開発校』の発表、授業公開の日で、全国から多くの先生方が参観していました。

ところが、当日、飼育していたモルモットが子どもを産むというハプニングで、

「モルモットが赤ちゃんを産んだよ。」の一声から授業がはじまりました。

指導案とは違う流れに、授業後、副校長先生から、

「君の指導案はどこにあるのか」と聞かれ、

「ここです。」(頭を指でさし)

「それは指導案とは言わない」と言われたことを思い出します。

心配されたことと思いますが、附属小学校は当時から『はじめに子どもありき』をモットーとし、子どもの思い・願い意見を大切にした授業づくりを行っていました。

 

この学年では、動物園や水族館を子どもたちとつくるなど、飼育栽培、受け継がれる命について学んでいたことを思い出します。

 

tomorrow新聞

モルモット,ハムスター,そしてウズラといった小動物や、グッピー,ランブアイ,ディスカスといった淡水魚、ルリスズメダイやウニ、やカニといった海水の生物がいた。

実は担任が飼育していた生物に加え、子どもたちが家庭で飼っていたものを持ち込み、増えていったのである。

こうした小動物たちは女子を中心に魚類は男子を中心とした係で飼うことになった。さらに5月からは理科「ヒトや動物の誕生」で、メダカを飼育し、教室の中は生き物で溢れた。生物好きの担任の影響もあるが,このような活動をむしろ子どもたちの方が望んでいたように感じる。そして、動物の飼育をきっかけに自分の成長や命についても考える学習となった。

 

WING

平成9年、10年の学年WINGでは、2年間をかけ、ヒラメを養殖し出荷したことを思い出します。

事の発端は10月に社会科の学習で、三浦海岸にある渡辺さんのヒラメ養殖場の見学でした。

はじめ、子どもたちは渡辺さんが養殖に薬を使っていると聞き、安全性にはかなり疑いをもっていました。しかし、渡辺の言葉から、渡辺さんの養殖についての自信、安全性、技術に驚きます。

渡辺さん

すると、

「君たちがそんなに熱心に養殖のことを調べているのなら、どうだ、ヒラメを飼ってみないかい。」と渡辺さんから養殖の誘いを受けたのです。

水質検査

約1ヶ月間考えぬいて、そのための準備も行い、冬休み間近の12月13日、ヒラメをいただきに行きました。

その時、10枚のヒラメとともに渡辺さんから、

「おじさんと競争しよう」

という挑戦を受けました。

『やる以上は渡辺さんや先生に頼らず、自分たちでいろいろなことを調べ絶対に成功させたい。』

子どもたちの心に火がつき、ここからヒラメの養殖がはじまります。

 

wingヒラメ新聞

ヒラメの全滅など、苦難もありましたが、クラスがヒラメ出荷に向けて一丸となる2年間の取組みでした。

 

新聞記事はヒラメを出荷したときの記事です。

卒業を前に、大きく育ったヒラメを

『集荷し他人が食べるくらいなら自分たちで食べる。』

『自分たちで捌き食するなんで無理』

『養殖・集荷を目的にここまで育てたのだから、お客さんに食べてもらい評価をもらうべき。』など、一人一人の思いを泣きながら話し合い、山手の魚屋さんに集荷しました。

当初は、海水で飼育が難しい魚を小学生が養殖するなど無謀と言われましたが、出荷に至ることができました。

今では、この実践をモデルに、総合的な学習の時間でヒラメを養殖する学校が増えました。しかし、漁協や水産試験場等の支援なしで、海水や機材・餌代も自分たちで工面した事例は、おそらく附属が唯一でしょう。

 

きらり

この学年の総合的な学習の時間では、福祉学習から各々が訓盲院、オリブ工房、聖坂養護学校の人たちとの一年間交流を行いました。

「特別な人なんていない。自分たちがそう思っているだけ。」

「お年寄りの方々はみんな元気、私たちも頑張らなければ」など、交流先の方々から自分のあり方生き方、心のバリアフリーを学びました。

共通単元では「きれいで透明な水が全ての生物にとって住みよい水なのか」

『水』の安全性や環境問題等に踏み込んだ学習を行いました。

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水道水と生活の関わりを導入とし、水の三態変化、雨の仕組みを追究するとともに、人や生き物にとってかけがえのない水、その水を浄化、濾過する自然の巧みさをあらためて感得した学習

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きらり図版

水道水はきれい、皆がそう思っていた。

「水と人」の単元は、「綺麗で透明」「においもない」消毒された安全な水道水が、「メダカやミジンコ等の微生物が生活できない水」であることに気づく。それが塩素の漂白・殺菌力である。

薬品を使わなければ水は浄化できないのだろうか・・・・・・・・

環境を科学する学習が始まるのである。

この学習では、自然の濾過、浄化力(植物やバクテリアの働き)に着目し、自分たちできれいな水をつくることに取り組んだ。

 

 

 

<ICT活用能力育成>

今は一人一台のギガ端末が整備され、教科書、ノートに変わるマストアイテムとなっていますが、すでに、22年前、附属小学校ではPCを活用し、「観察記録を表やグラフにする」「画像を貼り、インターネットから調べた情報、考えを記載する。」「図式やモデル図を描きプレゼンテーションとして表現する」等、手書きのノートでは表現できない処理を行っていた。

 

>>>恩師の近況 第12回 「小川俊哉先生」 その2 につづく